2011年6月10日金曜日

非现实王国


約一カ月ぶりの更新。公私共にバタバタしており、落ち着いてブログ書く気にもなれず放置してしまってた。以下、完全な備忘録になってしまうけど。。

先月14日、原宿ラフォーレ・ミュージアムで開催されていた「ヘンリー・ダーガー展」に行ってきた。

絵に限らず、音楽とか文学でも、作品のみならず作家の性格とか人生にも強く興味を惹かれるタイプと、作品だけを純粋に楽しめるタイプがある気がする。このヘンリー・ダーガーは、明らかに前者。その作品を観る上で、個人の人生に触れざるを得ないから。

幼くして母と死別して父に育てられるも間もなく施設に入れられ、その中での生活も合わず脱走、10代にして天涯孤独の中、一生を病院の清掃員としてひっそりと暮らしつつ、仕事以外の時間で自室に閉じこもって、およそ半世紀かけて膨大な長編の小説とその挿絵を描き続けたという。。そしてその作品、「非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコーアンジュリニアン戦争の嵐の物語」も、誰に見せるとかを全く意識せず彼の死後にアパートの大家が発見したことで世にでたそうな。

そんな背景を聞くだけで、興味を持たずにはいられなかった。

作品はどれも水彩画、人物は当時の広告イラストをトレースして描かれている。単純な手法のようだけど、明るい色使いと相俟って作品が妙にポップに見えたりするのはそのせいか。物語の主人公、ヴィヴィアン・ガールズ達が敵、グランデリニアンと闘う場面が中心。呼ばれる7人の少女たちは大半が裸で描かれてて、しかも皆男性器を持ってる・・・多分に、作者が女性を知らなかったからだそうな。他方では少女達が腹を切り裂かれて内臓を露出させてる場面や、首を絞められて苦しむ描写も。。。

振り返って思うに、自分が抱いた興味は、他人の内面、頭の中を垣間見たいという多分に出歯亀根性的な卑しいものだと思う。でも、恐らく作者は、この「非現実の王国」の中では自らの欲望を存分に満たした、幸福を感じてたに違いない。自分の内面にそういう強固な王国を持ちえた作者が、妙にすっごく羨ましい。

最近よく思う。どんな表現手法をとるにせよ、自分なりの「世界」を持てないといい表現なんて出来ない。例えば絵画なら、見たものを見たままに写真のようにきれいに描いたものを観ても、よく一生懸命頑張って描いたね~くらいにしか感じられなくなってきた。。その意味で、今回の展示会は作者の「世界」をモロに見られた、非常に印象強いものでした。

惜しむべらくは、物販の画集が既に売り切れてて買えなかったこと。。仕方ないから絵葉書買ったけど、満足できん。これはAmazonで画集買おうかな。

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